読書レポ「デザイン思考が世界を変える」

こんにちは、服部です。
今回は「デザイン思考が世界を変える -イノベーションを導く新しい考え方」という本についての読書レポです。

そもそもデザイン思考とは?

ここで使われている「デザイン」という言葉の意味合いは、一般的にイメージされるような
グラフィックデザインとは異なり、「問題解決をすること」を指しています。(私たちのサイトで”デザイン”と使っている場合の多くも後者の意味です。)
つまり、デザイン思考とは「問題解決思考」のことを意味します。

この本では、
・デザイン思考とは何か
・これからどこへ向かうのか
という内容が2部構成で書かれています。

前半の「デザイン思考とは何か」では、デザイン思考はどのようなプロセスで何をやるものなのかということについて、後半の「これからどこへ向かうのか」では、今後デザイン思考が企業の中でどのように活用されていくべきかという内容について、それぞれ具体例を交えながら解説されていました。

次に、全体を読んだ中で印象に残ったトピックを3つご紹介します。

組織全体でデザイン思考家にならなければいけない

従来の商品企画・設計の場合、企画を行う人、設計をする人、ものを作る人というのは分業されがちで、各担当者は自分の領域のことに集中してしまっていました。しかし、これからの企業において、デザイン思考は企画者やデザイナーなど一部の人のものではなく、組織全体が身につけなければいけないアプローチであるということが本書の各所で主張されています。

このことはデザイン分野を勉強している人であれば常識と言っていいほど当たり前の内容ではあるのですが、少なくとも現在の日本企業においてはまだまだ浸透・実践されていないように思えます。
特にWebサイトやアプリ制作の場合、自社内で何かを作るにせよ、外注するにせよ、企画を立てて要件定義・設計をしてデザイン・開発という昔ながらのウォーターフォール型プロジェクトがまだ多くを占めています。各工程における担当者も縦割りで固定されていることが多く、デザイナーやエンジニアは要件定義が完了してからミーティングに参加するということも珍しくありません。
本来の意味の「デザイン」「デザイン思考」を実践してよりユ ーザーに求められるサービスを実現するには、全行程の担当者(場合によっては経営者も)が最初から最後までプロジェクトに参加してユーザー研究に携わることに加え、プロトタイピング等によって各工程の見直し・調整を行いながら進めるべきです。
私たち自身が「デザイン思考」を実践することはもちろん、このような”全員思考家”の状態をつくりだすべきとお客様に啓蒙していくことも重要な責務だと改めて認識しました。

消費者・顧客は創造プロセスの中の能動的な参加者になる

これまでのサービスの在り方は、企業からの発信・提供と消費者・顧客による受信・購入という関係性が一般的でした。しかし、これからの時代においてその関係性は崩れ、消費者・顧客は受動的な立場から反転して能動的な”参加者”に変化していく、そのため企業が作り出すのは単なる”モノ”ではなく、”経験”を作り出していかなければいけません。

これは、Webの世界では特に、明らかな変化が起きていると実感できるのではないでしょうか。もっとも顕著なのはSNSによる個人の発信とマネタイズです。インフルエンサーという言葉が出てくるほどSNSでの個人の発信力は強力になってきており、出版社や音楽レーベルを通さなくても自分の文章や絵、音楽をWebを通じて売ることができるサービスがどんどん出てきています。
これまでは既に存在しているユーザーの経験を分析してサービスを生み出せばよかったですが、これからはそのサービスによってユーザーの新たな経験が生まれ、その経験が作用しあっていくようなサービスが主流になってくるでしょう。
私たちがデザイン思考を実践する上でも、ユーザーの今の行動分析をして不足を埋めるのではなく、新たな経験を生み出せるかどうかという視点を常に持っておくべきです。

サービス企業はイノベーション活動で遅れを取っている

デザイン思考の実践、いわゆるイノベーション活動を先行的に実施しているのは、実はサービス企業ではなく、製造業です。製造業にはイノベーションを実践する場となる研究開発施設が設置されていることが当たり前なのに対し、小売・外食・銀行・保険などのサービス業には体系的なイノベーションが考慮されてこなかったというのです。

では、Web制作・アプリ制作では、デザイン思考の実践は行われていると言えるでしょうか。
Webそのものがイノベーションツールのような印象があるなため、当然行われていると思う方が多いかもしれませんが、意外にもまだまだ多くはないというのが現状です。思いつきだけでサービスをつくったり、つくった後に改善を重ねることなく走らせたままのサービスが少なからず存在してしまっています。本来であれば、Webはプロトタイピングもしやすく、デザイン思考にもっとも適した分野と言えるのに…もったいない話です。
私たちがこの分野に真摯に取り組んでいくことで、Webサイト・アプリ制作の世界でもデザイン思考の浸透と定着を図っていきたいです。